2017年3月19日日曜日

春彼岸に彼岸桜を生けました

春のお彼岸を迎えました。
お天気の良い日はほんとうに春らしくなってきて、なんだかとても嬉しい。
寒がりの私もようやく、重ね着、重ね履きを少なくしても大丈夫?
と、ちょっとずつ減らして身軽になってきました。

そんな春彼岸の頃に生ける花は、やっぱり「彼岸桜」。
2月くらいから市場に出回ってきますが、その頃は生けたい気持ちを抑え、
そろそろお彼岸だなぁ、ようやく春だなぁと、春が隣くらいに感じられてから
ワクワクしながら、まだ堅い蕾のついた彼岸桜を生けます。
比較的すぐに咲いてくる桜なので、一週間もすれば満開に。
白に見紛うほどの薄い薄いピンクの花が、春の陽光に透け一段と綺麗です。



蕾のころ、枝の動きを楽しんで伸びやかに生けました

満開の淡い花が引き立つように、ムシカリの緑の葉を添えました
アクセントに菜の花を


同じ花木でも、蕾と満開のころでは印象が変わりますね。
蕾のころから生け始めると、3分、5分、7分・・・そして満開へ。
枝物は持ちのいいのが嬉しいですが、こんな風に季節が進んで行くのを
実感できるのが一番のいいところかもしれません。
すこしずつ切り戻し、水を変え、生け替えながら、季節の移り変わりを楽しむ。
桜に違わず、花の木の豊富な春はそんな風に楽しんでみてください。

そしておまけです。
国立新美術館で開催中の「草間彌生:わが永遠の魂」展を観てきました。
いいも悪いも、好きも嫌いも、何もかも超越した「力」にあふれていました。



さすが、金曜ですが混んでいます
週末は大変な混みようらしいです


乃木坂つながりで、Books&Modernで植田正治さんの写真展を観て、



Ueda-choもストレートフォトも素晴らしいです
カレンダー買いました


そしてトリにギャラリー間での堀部 安嗣さんと田根剛さんのトークイベントに。



作品集にサインしていただきました!


堀部さんの「南の家」に一目惚れして、楽しみに対談を聞きに行きました。
共通して言われてた「設計においてプロポーションが一番大切」という言葉。
プロポーションを辞書で引くと「調和、比率、割合、バランスをとる」などが
和訳として出てきます。
花を生けるのも同じだなぁ、大切なことって、なんでも同じなんだなぁ。
と、充実の乃木坂の夕べでした。
上ふたつはまだ会期中ですので、よかったらお出かけしてみてください。





2017年3月5日日曜日

弥生3月春めいて

3月の声を聞くとなんだかすごくホッとします。
気温はまだ冬のようでも、陽の光は丸みを帯び、風も少し柔らかく、
湿度も少し上がってきたような。
春めいてきたな〜〜〜!!と実感が持てるようになるからでしょうね、きっと。

春だから、というわけでもないのですが、
名刺を20年ぶりに新しくしたのが出来てきました。
2月の最後の週末に訪れた埼玉の「うつわノート」さんの”遠くの太鼓”という展覧会で、
木仏像をいただいて、我が家の仏様も出来ました。


名刺と自然木仏様


生活の中に根ざし生まれる信仰は国境はないですね


こちらはフランスの木像、マリア様


名刺は小さな紙ではありますが、名は体を表すというように
自分がギュッと凝縮された大切なものだと思います。
仕事柄もありますが、花を生ける井出綾がそこにいるようなものでしょうか。
小さな仕事ですが、デザイナーさんとしっかり話をして、
表現を形にしていただくことができました。
作っていただく行程でも、ひとつひとつ細やかに、
そしてまたおおらかに全体を見ていくことが大切だということも
花を生けるのと一緒だなぁ、なんでも一緒だなぁと改めて実感しました。

仏像は子供の頃は畏怖の思い(もっと感覚的なものでしょうが)が強く、
ちょっと怖い存在でしたが、大人になってからは見ているだけで穏やかな気持ちに
なれる存在に変わり、いつか小さな木の仏様をと何年も思い続けていました。
どこの国のものか?誰が作ったものか?の小さい自然木の民間信仰の仏様は、
敬虔な一神教ではない「あらゆるところに神は宿る」と信じている私を
きっと見守ってくださると思います。



木偏に春、椿
赤と白の複色の椿はノスタルジックです

アブラチャンと豆とラケナリア
春の若緑と黄色は澄みやかできれいです


そして部屋全体が柔らかい光に変わっていくのを感じながら、
春らしい花を生けて楽しんでいます。
50代も半ばをすぎいよいよ後半の頃の春に、偶然ではありますが、
柔らかい気持ちでまた一歩と思える3月の始まりを迎えることができました。
あらゆるものに深謝の春です。